8.老人福祉施設の評価

現在の日本では高齢社会を反映して、老人福祉施設が数多く誕生しています。それを形容するならば雨後の筍とでも言いましょうか。老人福祉施設と言えば私達は真っ先に有料老人ホームを思い浮かべるでしょう。ですが老人福祉施設と言っても有料老人ホームだけに限りません。例えば高齢者マンション、グループホーム等といった形態の老人福祉施設があります。また有料老人ホームにも色々とあります。例えば略して特養とも呼ばれる特別養護老人ホーム、健康型有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム等があります。一口に老人福祉施設、有料老人ホームと言ってもその種類は実に多様で、奥が深いといってもいいでしょう。それらは当然老人福祉施設を利用する側に対して、異なる需要、状況に応じて選択肢を与えているのです。逆に言えばこうしたバラエティーに富んだ老人福祉施設が、私達の今日の高齢社会を支えているのです。
ところでどのような産業においてもそうで、特に医療や保険等がそうだと言えますが、政府部門、公的部門による監督、管理が必要です。高齢社会を反映して急激に増えた老人福祉施設ですが、一方では急に増えすぎたために一部の有料老人ホーム等は経営やサービス内容の不透明性を指摘されるようになりました。このようにを老人福祉施設の一部に見られるある種の不透明性に対し、公的機関による客観的な第三者評価を行おうという流れも生じてきました。こうした声を受けて公的部門の手による福祉サービスに対する第三者評価事業の構想が生まれました。その誕生のいきさつとしては1997年(平成9年)、当時の厚生省が検討を開始した社会福祉基礎構造改革において、その理念を具体化する仕組みの一つとして福祉施設への第三者評価が位置づけられました。ちなみにその社会福祉基礎構造改革とは、社会環境や経済事情等の変化によって生じた国民の福祉需要の増大、多様化を背景に、戦後50年にわたる社会福祉事業法に基づいた社会福祉諸制度の共通的な基盤制度の見直しを図ることを目的としたものです。
こうして福祉サービスに対する第三者評価の制度、枠組み作りが具体的に動き出すことになります。ここでは福祉サービス内容に対する評価は、福祉サービスの提供者が自らの問題点を具体的に把握し、改善を図るための重要な手段となっていると定義されています。ここではそうした評価が、サービス利用者の意見をも採り入れた形で客観的に行われることの重要性が説かれており、従ってそうした福祉サービスへの評価がより専門的な第三者評価機関において行われることを推進するという方向でまとめられています。
また2000年(平成12年)6月に社会福祉法が施行されましたが、その社会福祉法の第78条では福祉サービスの質の向上のための措置等に関して定められています。少し長いのですが、老人福祉施設及びその評価に関する行政的な指針として重要と思われるので引用しておきます。
第78条
社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない。 2 国は、社会福祉事業の経営者が行う福祉サービスの質の向上のための措置を援助するために、福祉サービスの質の公正かつ適切な評価の実施に資するための措置を講ずるよう努めなければならない。

要介護認定 老人ホームの生活


このように社会福祉法第78条の第2項では、国が福祉サービスの質に対する公正で尚且つ適切な評価の実施と、それに資するための措置を講じるよう規定されています。ここで紹介した福祉サービスに対する第三者評価事業はこの規定に基づいていて、そして現在国が基盤づくりを進めています。現在日本の各分野で情報公開、開示が求められ、それが大きな流れになっていますが、今後このような流れの中で介護及び福祉の分野も、より明確に、広範囲に情報開示が求められていくでしょう。