10.高齢者の存在2

日本に暮らしていると、毎日のように所謂少子高齢化に関するニュースや記事を目にします。現在の日本は急激に進む少子高齢社会の最中にあって、そのスピードは嘗て人類が歴史上経験したことのない速さだとも言われています。そうした少子高齢社会は、現在の日本において社会のあらゆる所に様々な形で影響を与え、影を落としています。ところで皆さんもざっと周囲を見渡してみてください。すると少子高齢社会を反映するもの、事象を数多く見かけることができるはずです。例えば昔に比べて学習塾や産婦人科医院等が減っているように思えませんか。学校や幼稚園などは実際に生徒数が激減しています。その一方で有料老人ホームの数は増え続け、当然ながら有料老人ホームに入所する高齢者の数も増え続けています。皆さんの周囲にも恐らく有料老人ホームが何軒かあるのではないでしょうか。もしかすると皆さんの家族もそうした有料老人ホームに入所しているのかもしれません。
有料老人ホームの多数存在していることは、当然ながら高齢者数の増加と、関連の高齢者福祉サービスへの需要の増加を示しています。ところで皆さんは所謂高齢者問題について考えたことがありますか。先にも書いたように、現在の日本では高齢者問題への関心が高まっています。そして高齢者の存在についてもいろいろと考える風潮が高まっています。ここでは高齢者そのものにスポットを当てて、考えていきたいと思います。

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ところで高齢者はその長い人生の中から豊富な知識や経験を得ています。経験や知識の蓄積と言う点では、若い人たちはその足元にも及ばないでしょう。従って古今東西を問わず、高齢者は社会においてその様々な経験や知識によって一定の地位を獲得していることが多くなっています。また特に古代から近代にかけての時代は、現在ほど医療技術が発展しておらず平均寿命も長くなかったこともあり、高齢者の存在自体が稀有な存在でした。従って高齢者に対しては特別な呼称が存在しています。例えば「古老」や或いはよく耳にする「長老」等といった呼称です。また中国で生まれ、東アジアにおいて大きな影響を残している儒教の教えでは敬老を謳っており、そうした儒教における敬老の精神も、高齢者が尊敬されることの大きな要因の一つとなっています。

また前近代における社会では、高齢者は豊富な知識と経験を持つが故に民間療法にも通じていることが多くなっていました。従って呪術医等と同列の存在ともなっていました。皆さんが映画等で見かける呪術師の多くが老人であることも、こうしたイメージに関係があるものだと思われます。こうしたことから、高齢者に対する一定の畏敬の念が存在していました。また高齢者自身に対してのみならず、それに関連、付随する物品までもが何等かの霊的、超越的な効能を持つと考えられていたようです。こうした現象を解明していけば実際には高齢者の持つ薬草、薬石等の知識や、長年の経験に基づく適切な看護、療養措置に負う所が大きく、高齢者自身が何か魔法や超能力を使うといったことはなかったはずですが、それだけ高齢者の存在、及びその知識、経験が多くの人から畏敬を持って迎えられたことの証明であると言えます。